お、居酒屋だな。ほう。2階にあるのか。この雰囲気の居酒屋が2階にあるのは珍しいな。
2軒目で血中アルコール濃度が高まっていると居酒屋にしか見えない。
いや完全シラフでも分からないかもしれない。
この看板。
居酒屋じゃないんです。なんか熱燗出てきそうなのに出てくるのは……
クラフトビール。
クラフトビール酒場 BAK 堂島JCT.に初入店。
狭めの階段を上がるとカウンターと少しのテーブル。しかし圧迫感は不思議となく窮屈感がない。
こじんまりした店は入った瞬間に居心地の合う合わないが始まりがち。ただこの店はそんな雰囲気の欠片もなかった。
熱燗チンチンで!!
と言おうとしたら面食らうだろう。
店員さんは若い。熱燗の温度で明日を占うオジはたじろいでしまうかもしれない。
カウンターに案内される。
予約はしなかった。オープンすぐの5時半に来たんだ。
ところがどうも予約なしで入れたのは私達二人だけのようだ。ネットで調べてビールが飲める店ということで選んだだけだ。雰囲気で。
どうやら大人気店らしい。コロナ禍終盤あたりから梅田なんかは5時すぎから予約なしだと入れない店が大量に出てきている。
北新地の店なんて10時30分に終わる店も増えた。みんな早くから飲んで早く帰るらしい。時代が変わったのだ。
さて偶然入れた人気店。もちろん頼むのはクラフトビールだ。
クラフトビールは番号で6種類ほどあった。
親切なことにビールと合う料理が併記されている。
クラフトビールに興味がある。でもなんか入りづらいしマナーも分からない。料理とか普通に好きなの選んでいいのかな?店の人に冷たい目で見られないかな?
そんなクラフトビールが憧れの先輩に見えてしまう貴女でも心配ない。
分からん時は自分好みの料理を見つけて、それに合うビールを頼めばいい。
だいたいクラフトビールはキリンやアサヒなどのメジャービールと違い、いい意味で基本的にクセがある。香りというか苦味というか。
なのでクラフトビールの味解説から自分で選んでもイメージ通りの味になるかは確率が低い。なので自分好みの料理ということが確実に分かる料理からビールを選ぶのはおすすめだ。
店長っぽい男性は若い人だ。その他、男性に女性店員。みんな若い。
こういう店員構成だとノリでグイグイイエ~な店も多いがここは違うようだ。客層も常連っぽい同世代の若い人もいるが、結構周辺の会社から来ていそうなサラリーマンにしっとりタイプの女性も多い。
店員さんとやりとりすれば分かるがノリは多分いい方なんだろうけど強要してくるタイプじゃない。
なので一人でクラフトビールをしっかり味わいたいという人も全く問題ないだろう。
やはりしっかり味わいたいと言えど、バーみたいに静かすぎてもいたたまれない。かといって周囲がウェイウェイしてても居心地が悪い。
そんな不安からこじんまりした店舗は避けている人もいるはず。でもデカいハコも孤独感がキツいしイマイチ……
この感覚がピンと来た人ならこの店はいける。うまいビールとうまい飯が食えるのは間違いないはずだ。
いい感じに総合的な居心地の良さがあり、それがクラフトビールの雰囲気を高めてくれている。
店入り口の看板にも「お一人様BAK優しくします」となっている。
アットホームな職場です!ほど信用ならない求人広告はないが、お一人様歓迎でも実際は店の雰囲気がそうでもなかったりする。でもこの店なら問題ない。
さてビールを飲んでみよう。
グラスは薄めのしっかりしたでクラフトビールの重厚さを手の重さからも感じ取れる。
突き出しのお皿がクラフトビール店ぽくなく、看板の居酒屋、おばんざい屋みたいなかわいい皿でなんかいい。ここで看板の雰囲気の帳尻が合ってきた。
しかしこれまたいい意味で裏切られる。
料理は予想と全く違うものが出てきた。
料理名自体は知っているものなのに見た目が初のものばかりだ。
クラフトビールの店で料理がこんなに凝っているのは珍しい。それも凝っているだけのオシャレ料理ではなくちゃんと味もいいしボリュームもある。
ビール系の店は塩気強めでビールを進ませる系が多い。ただそれだと女性があんまりというケースも。
その点でこの店の料理は塩気が強すぎず、かといってビールを進ませないこともなく結局進ませてくる。いい塩梅だろう。
女性客にも人気なのは料理の映え感だけでなく女性の舌も邪魔しない味付けなのが大きいのかも。
逆に言うと、塩気強めのフィッシュアンドチップスやソーセージでグイッとイキたいならおすすめはしない。そういう店ではないと思う。
一般的にはビールを進めさせるアテが多いのがビール専門店だが、このクラフトビール酒場 BAK 堂島JCT.はクラフトビールが主役だが同等に料理も主役だ。
ビールと合う料理をセットにしているのは雰囲気じゃないと思う。料理に自信がないとこうはいかないだろう。他のクラフトビールの店とはまた違った酒の進み方が体験できる。
そして女性客が喜ぶ系の料理になるとだいたい男連中からは不評を買うものだが、ここの料理はボリュームも食べごたえもしっかりしている。だから男が不満に思うことはないだろう。この辺のバランスがいいのが人気店たる所以じゃないだろうか。
クラフトビールに興味があるけど行ったことがない、という意中の女性がいたら男はここに連れてくるといい。その後は知らんが。まあ頑張れ。
ちょっと時間を空けて記事を書いているので記憶が曖昧なんだが、確かこれポテトサラダを頼んだはず。
最初出てきた時は喫茶店のチョコレートアイスか何かと思った。世が世紀末ならトサカモヒカンの客が怒り狂ってカウンター乗り越えて店を襲うかもしれない。それくらいの衝撃だ。
見た目で甘そうに見える。こんな料理を出せるクラフトビール店は知らない。何とも手が凝っている。道理で店員さんが絶え間なくせわしなく動きっぱなしなわけだ。なんか常に細かい作業しているから気になっていたが、切って揚げて盛ってとかの料理じゃないのが多いからだろう。こんなに手元が忙しいクラフトビール店の店員は見たことがないくらいだ。
他のメニューより若干お高めのものがあった。マグロのカルパッチョかフィッシュアンドチップス(確か……写真の見た目で判断できねえ)
この写真だけ見たら家庭的なフランス料理屋だろう。この時点で分かったけどこの店、一般的なクラフトビール店にはない盛り付けのウマさがあるなって。
決して映え狙いとかの露骨さはなくて自然。でも目を楽しませる要素がある。ビール飲みに来たのに料理でびっくらこいた。まさかこうなるとは。
多分この時点でビール3杯目くらいはいってたかな。やばい。
う~ん。やはりクラフトビールの店とは思えないハイパークオリティ。
あと色どりも考えてそうな見た目。どこかフレンチかイタリアンか何かで修行でもしてきた人なんだろうか。普通にクラフトビール店やろうとしてこんな料理作らないだろ普通。
なんやかんや、普段の1.5倍は飲んでしまい、ビールで結構酔うというここ10年でも記憶にない仕上がりとなった。
本来ならビールを飲むために料理を注文するのだが、この店は料理を試してみたくてビールも頼む感じになった。そのせいでアルコール調整がぶっ壊れた。
雰囲気もいい。店員さんは若いけど年配の人でも全く大丈夫。居心地が悪くなることはない。ビールが好きならO.K.だ。
店を後にしてから思ったが、クラフトビール店だけど連れが下戸でも問題ないかもしれない。
揚げ物とサラダみたいな料理構成だと酒が飲めないと苦痛タイムだ。でもここなら料理だけでも楽しめる。クラフトビール店なんだけど料理がおすすめと言えてしまうかなり稀有な店だった。